夢のなかで私は虫だった。
私は小さな寄生蜂の幼虫で、幼い少女の眼球に産み落とされた私は、眼球の中で孵化し少女の白眼を食い荒らしその奥へと進んでいった。
瞳孔の奥に達するとそこはやわらかな光に包まれた球形の空間でその奥にスクリーンの様に広がる網膜には少女の見た光景がまるで映画のように(ただし倒立で)映し出されていた。
私はもぞもぞと網膜のスクリーンの前まで身体を動かして身を横たえる。瞳孔を通ってくる光が私を照らす。
私は少女の見た光景を少女の瞳を通して垣間見る。そこは草原で青い空とシロツメクサの花が咲いていた。
2003/10/03 Fri (No.041)

 

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