死後の世界の話
昔二人の男が死後の世界があるのか、ないのかについて話をしていた。長々と議論は続いたけれど死んだことのない二人には結論を出すことができなかった。そこで男の一人がこういった。「もし、俺が死んで死後の世界が存在するのなら、死んだちょうど一年後に君の元に幽霊となって現れよう。もし、僕の霊が君の元に現れたら死後の世界は存在するし、現れなければ死後の世界は存在しない。これで決着がつくではないか。」もう一人の男もその意見に賛成で「君が死んだ1年後に僕はこの場所で君の霊が現れるのを待つこととしよう。」といった。

それから50年が過ぎた。若かった二人も年をとってそろそろ死が現実のものとなった。一人の男がいった。「君、50年前の約束を憶えているかい。僕はもうそろそろ死んでしまうけれども、僕が死んで1年経ったら、僕はあの場所へ幽霊となって戻ってくる。もし、死後の世界があるとすればだがね。」もう一人の男も約束を忘れてはいなかった。「ああ、君が死んだ1年後にあの場所で君が戻ってくるのを待っていよう。」それからしばらくして一人の男が死んだ。

それから1年が過ぎた。あの約束がどうなったか。死後の世界はあるのかないのか。しかし、残念なことに1年を待たずしてもう一人の男も老衰で死んでしまった。一人の男が幽霊になって死後の世界から舞い戻ってきたのかどうかは、誰も知らない。

2000/12/01 Fri (No.021)

 

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