面皰
私がまだ幼い時分の記憶。まだ、田舎の実家の方で父方の祖父母と同居していた頃のこと、暑い夏の日の夕暮れ時だったろうか。浴衣を脱いで裸になって縁側に胡座をかいた父の背中に母が顔をくっ付けてもぞもぞと何かしている。ナニをしているのか気になってそばに寄ってみると、父の背中に口を吸い付けて面皰の膿を吸い出しているのであった。母は吸い出した膿を手ぬぐいに吐き出して「父さんは手で面皰を潰すと痛がるので困ったものです。」といった。父の背中には小さな穴があいた面皰が赤く腫れているのが見えた。もう随分と昔の話だけれど、何故だか記憶に残っている風景である。
1999/12/03 Fri (No.015)

 

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