螺子

記憶があやふやになってしまったが、何日か前の事だったと思う。朝、目が覚めると枕元に小さな螺子が一つ転がっているのに気が付いた。寝る前にはそのような物は無かったような気がするので何だか不思議な気持ちがした。目覚まし時計の螺子かしらと思って、その螺子は捨てずに何処かへ仕舞って、その日は仕事に出掛けた様に思う。

そんな出来事があってからに思う。何故だか最近酷く物忘れが激しいのだ。最初はあまり気にも止めなかったのだけれど、最近では自分の自宅の場所や、家族の名前さえ思い出すのに苦労するようになってしまい、ちょっとした物忘れでは済まない状態である。もしかして、あの螺子が何か関係あるのかも。あれは俺の頭の螺子で、其れが何か拍子で外れてしまって、俺はこのような阿呆になってしまったのかも。と思うようになった。でも、もう俺はあの螺子を何処に仕舞ってしまったのか思い出せないでいるのだ。

1999/07/18 Sun (No.003)

 

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